絶縁状態であった父が亡くなり遺言が発見された事案
被相続人との関係 | 子 | |
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相続人 | 相談者のみ | |
遺言内容 | 「全財産を友人へ贈与する。」 | |
相続財産 | 依頼時不明。調査の結果、預貯金、有価証券、生前贈与など1億。 |
1 ご相談内容
Aさんは、幼いころに両親が離婚し、母親に引き取られて長年生活を続けていました。
そうした折、Aさんは突然、父親であるBさんが入所していた介護施設から「Bさんが先日亡くなった。引き取り手がいないため相続人であるAさんが荷物を取りに来てほしい。」との連絡を受けたため施設へ出向きました。
すると、Bさんの居室から「私に何かあった場合には、Cさんに全財産を譲る。」という自筆証書遺言が見つかったため、Aさんはどうすればわからず弁護士に相談にきました。
なお、Aさんは、Bさんと30年以上連絡をしていなかったのでBさんの財産がどのくらいあるのか全く把握していませんでした。
2 当職の対応と結果
(1)遺産調査
Aさんは、Bさんの遺産内容を把握されていませんでしたので、侵害された遺留分相当額を確認するために当弁護士において遺産調査を行いました。
施設に対して入居金の支払先の照会を行うことにより、地方銀行に対して預貯金を有していることが判明しました。
また、当弁護士において、メガバンク・ゆうちょ銀行・居住地近辺の有力地方銀行に対して照会をかけたところ総額約6000万円の預貯金を発見しました。
さらに、発見された預金通帳を確認したところ、Bさんが生前Cさんに対して約4000万円の贈与を行っていた事実も判明しました。
最後に、郵便物の中に大手証券会社からの通知書があったことから同社に対して照会を掛けるとともに、証券保管振替機構に対して調査を行ったところ、未受領配当金及び有価証券として総額約7000万円相当の財産がみつかりました。
このように、当弁護士の調査の結果、約1億5000万円もの遺産が存在することが判明しました。
(2)遺言検認
Aさんが見つけた遺言は、自筆証書遺言でしたので当弁護士において遺言検認手続きを代行いたしました。
(3)遺留分侵害額請求に関する交渉
上記の通り、Aさんには多額の遺留分を有することが判明しましたので、AさんはCさんに対して遺留分侵害額請求権(受任時は「遺留分減殺請求」)を行使することにしました。
当弁護士において、内容証明郵便の方法により遺留分侵害額請求権を行使する旨の通知を発送し、相手方と直接交渉を開始いたしました。
幸い、話し合いにおいてAさんとCさんとの間でトラブルとなる点はありませんでしたが、金額があまりにも高額であったために、念のため裁判所において調停調書を作成してもらうことになりました。
その結果、Aさんは無事に約7500万円の財産を獲得することに成功しました。
(4)税金処理・相続手続きの代行
Aさんは多額の財産を取得することができましたが、多忙のため各金融機関に対して相続手続きを行うことが困難でした。
また、遺留分侵害額請求権行使の結果獲得した財産に関して、どのような税務申告をすればよいのか不安に思われていました。
そこで、当弁護士において各金融機関に対して相続手続きを代行することによりAさんを煩わしい手続きから解放いたしました。
また、税務面についても当事務所所属の税理士及び相手方担当の税理士と調停成立前から密に連携し、税務申告についても滞りなく処理いたしました。