最判平成6年12月16日

原審の確定した事実によれば、被上告人は、父である近藤銕五郎から遺言公正証書の正本の保管を託され、銕五郎の法定相続人(被上告人のほか、銕五郎の妻フジ、子松岡君代、上告人、谷田部孝子)の間で遺産分割協議が成立するまで上告人に対して遺言書の存在と内容を告げなかったが、フジは事前に相談を受けて銕五郎が公正証書によって遺言したことを知っており、フジの実家の当主である森由五郎及び近藤家の菩提寺の住職である小林慈征は証人として遺言書の作成に立ち会った上、森は遺言執行者の指定を受け、また、被上告人は、遺産分割協議の成立前に孝子に対し、右遺言公正証書の正本を示してその存在と内容を告げたというのである。右事実関係の下において、被上告人の行為は遺言書の発見を妨げるものということができず、民法八九一条五号の遺言書の隠匿に当たらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

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