養子縁組の解消方法

養子縁組の解消

一度養子縁組を行っても、その後養子縁組の解消を望む場合がありえます。
特に、成年になってから養子縁組を行ったなどの場合には、その後仲たがいをしたなどの理由で、養子縁組の解消をしたいと思うこともありうるように思います。
たとえば、娘の夫と養子縁組を行ったが、その後折り合いが悪くなったというような場合です。
このような場合に、養子縁組の解消をすることが考えられますが、以下の方法により養子縁組を解消することが考えられます。

  1. 協議上の離縁
  2. 裁判上の離縁
  3. 死後離縁
  4. 廃除
  5. 相続欠格

なお、養親と養子とは、以下の手段によって解消することができますが、実の親子関係(血縁による親子関係)は解消することができません。
また、以下で述べるのは通常の養子縁組の離縁であり、特別養子縁組の離縁の場合には異なります。

協議上の離縁

離縁とは、縁組による親子関係を解消させることをいいます。
離縁は、当事者の協議で離縁をすることができます(民法811条1項)。
お互いが離縁に関して合意をすることができれば、この協議上の離縁の方法によることになります。

離縁の手続(民法812条、739条2項)

協議上の離縁を行う場合には、離縁届に当事者双方及び成年の証人2人以上が署名し、区役所等に提出する必要があります。
離婚の場合の規定が準用されており、離縁の手続は離婚の手続とかわりありません。

協議離縁の要件

協議離縁が効力を生じるためには、実質的要件と形式的要件が必要と考えられています。
実質的要件とは離縁の合意であり、形式的要件とは、戸籍法の定めるところによる届け出です。

離縁の合意

離縁の合意とは離縁意思の合致のことをいいますが、離縁意思とは社会的習俗に照らして、親子と認められる関係を以後永久に消滅させようとする意思などといわれます。離縁意思が争われた判例として、があります。
また、離縁意思がいつの時期に存在することが必要かについては、離縁届出作成時と届出時の両者と考えられます。
このように、離縁の届出がなされても、実際には離縁の合意がない場合には、離縁は無効となります。
具体的には、当事者の了解なく離縁届を作成して届けてしまった場合、認知症等で判断能力がないにもかかわらず離縁届を提出した場合などが、離縁の合意がない場合といえます。

養子が15歳未満の場合(民法811条2項)

協議上の離縁を行おうとする場合で、養子が15才未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後に法定代理人となるべき者(通常は実父母)との間で行います。15歳未満の養子には、離縁をする身分行為能力がないため、法定代理人となるべき者が代わりに離縁を行うことになります。

15歳未満の養子の実父母が離婚している場合(民法811条3項、4項)

この場合、養子の実父母が離婚していないときは、実父母双方が離縁の協議者になりますが、養子の実父母が離婚しているときは、協議により、一方を養子の離縁後に親権者となるべき者と定めなければならず、協議が調わないときは、家庭裁判所が審判をしてこれを定めることになります。

15才未満の養子の実父母がいない場合(民法811条5項)

実父母がいないなど、離縁後に養子に法定代理人となるべき者がいないときは、養子の親族等が請求することにより家庭裁判所が未成年後見人となるべき者を選任します。
未成年後見人選任の審判においては、調査官の調査が行われたり、未成年被後見人への聴取が行われることが多いといえます。

養親が夫婦である場合(民法811条の2)

養親が夫婦である場合には、未成年者養子と離縁をするには、夫婦が共にしなければなりません。
ただし、行方不明などの理由で、夫婦の一方が意思表示をすることができない場合には、この限りではなく、一方のみで離縁することができます。
「夫婦の一方が意思表示をすることができない場合」としては。行方不明の場合の他、成年被後見人になったなどの場合が考えられます。

裁判上の離縁

協議によって離縁をすることが難しい場合には、裁判上の離縁を行うことになります。
この手続きも離婚の場合とよく似ています。

離縁の事由

以下の事由がある場合には、当事者の合意がなくても、裁判手続により離縁をすることができます(民法814条)

① 相手方から悪意で遺棄されたとき

遺棄とは親子関係の中核的義務である監護義務・扶養義務の懈怠をいいます。
悪意とは遺棄の事実の認識にとどまらず、積極的にこれを認容する意思です。
裁判例で認められた悪意の域としては、養子が正当な理由なく養親に対して扶養義務を怠る場合、養親の生活の基礎となる財産に対する侵害を行い別居した場合、成年の養子に対し扶養義務を免れようとし、また養親が家を売却して養子1人を残して転居した場合、などがあります。

② 相手方の生死が三年以上明らかでないとき

生死不明とは、生存の立証も死亡の立証もできないことをいい、音信不通とは異なると考えられています。
なお、生死不明が当事者の故意・過失に基づくものかどうかは関係ありません。

③ その他縁組を継続しがたい重大な事由があるとき

これは、養親子としての精神的経済的生活関係を維持もしくは回復することがきわめて困難なほどに縁組を破綻せしめる事由の存する場合を意味するとされています。
当事者の一方が暴力や虐待をした場合などは典型例ですが、養親子関係が破たんしている場合もこれに含まれます。
なお、離縁の場合には有責当事者からの離縁請求は認められないと考えられています。

調停前置主義

裁判手続により離縁をする場合には、まずは家庭裁判所に調停を申立てる必要があります。
そして、調停が不調の場合には、家庭裁判所に訴訟を提起することになります。

養子が15歳未満の場合

この場合も、養子が15歳未満のときは、離縁訴訟をする訴訟行為能力がないため、法定代理人となるべき者が代わりに当事者離縁となります(民法815条)。
ここで、法定代理人となるべき者とは、通常は実父母です。
実父母が離婚していた場合には、協議により、一方を養子の離縁後に親権者となるべき者と定めなければならず、協議が調わないときは、家庭裁判所が審判をしてこれを定めることになります。実父母がいない場合には実父母がいないなど、離縁後に養子に法定代理人となるべき者がいないときは、養子の親族等が請求することにより家庭裁判所が未成年後見人となるべき者が選任されます。

死後離縁

縁組の当事者の一方が死亡した後に生存当事者が離縁をすることがあり、これを死後離縁といいます(民法811条6項)。
上記のとおり、通常の協議上の離縁は双方の合意に基づいて離縁を行いますが、死後離縁は、生存当事者の単独の意思表示で行います。

死後離縁の手続

死後離縁を行うためには、家庭裁判所に申立てを行い、許可を受ける必要があります。
申立てがなされた場合、養子を代襲して養親の相続人となるべき者に対して、申立てがあった旨の通知がなされます(家事手続法162条3項)
家庭裁判所の許可の審判がなされた場合には、審判書の謄本を添付して、離縁の届出をすることになります。

養子が15歳未満の場合

15歳未満の養子が養父母死亡後に離縁する場合には、法定代理人となるべき者が申立てをすることになります。
ここで、法定代理人となるべき者とは、実父母や未成年後見人です。

廃除

相続人の廃除とは、対象となった相続人が相続人から除外される制度です(民法892条、893条)。
廃除された相続人は、遺留分も有しないことになります。

廃除の手続

被相続人が家庭裁判所に請求するか、被相続人が遺言で推定相続人を廃除する旨の意思表示を行い、遺言執行者が家庭裁判所に請求する方法により行われます。
廃除が認められるためには、①被相続人に対する虐待侮辱がある場合、②その他の著しい非行がある場合、のいずれかである必要があります。

離縁との関係

被相続人の生前の場合には、養子縁組を解消するために、裁判上の離縁、廃除いずれの方法によることもできますが、
廃除の方が要件が厳しいと考えられ、通常であれば、裁判上の離縁の方法をとるものと思われます。

相続欠格

相続欠格とは、欠格事由がある場合に、相続人から除外される制度です(民法891条)。
廃除とは異なり、欠格事由がある場合には当然に欠格となり、家庭裁判所での審判は必要ありません。
その分、欠格事由は廃除より重大な事項に限られています。
欠格事由は以下のとおりです。
一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

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