名古屋高金沢支決昭和60年7月22日

相続人の廃除は、相続的協同関係が破壊されまたは破壊される可能性がある場合に、そのことを理由に遺留分権を有する推定相続人の相続権を奪う制度であるところ、廃除事由として、法は被相続人に対する虐待、侮辱その他相続人の著しい非行をあげているが、右廃除は被相続人の主観的、恣意的なものであつてはならず、具体的非行の内容が社会的かつ客観的にみて遺留分の否定を正当とする程度に重大なものでなければならないと同時に、右規定は一種の一般条項であるから、廃除事由としては、虐待・侮辱行為に限定されず、そのほか遺留分を奪うことが相当と判断される程度の有責行為であればその種類・内容は問わないというべきである。従つて、右廃除事由は、抽象的には、相続的共同関係を破壊するに足りる相続人の被相続人に対する重大な非行一般の趣旨に解することができ、これはまた養親子関係に例をとると、相続権を含む身分関係の全面的解消である離縁に共通する面があり、従つてその非行の程度に関する判断は、離縁原因としての「縁組を継続し難い重大な事由」と実質的にはその趣旨を同じくするものと解されるから、廃除事由の判断に当つては、これを一応の基準とするのが相当である。

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