最判平成7年12月5日

共同相続人のうちの一人である甲が、他に共同相続人がいること、ひいては相続財産のうち甲の本来の持分を超える部分が他の共同相続人の持分に属するものであることを知りながら、又はその部分についても甲に相続による持分があるものと信ずべき合理的な事由がないにもかかわらず、その部分もまた自己の持分に属するものと称し、これを占有管理している場合は、もともと相続回復請求制度の適用が予定されている場合には当たらず、甲は、相続権を侵害されている他の共同相続人からの侵害の排除の請求に対し、民法八八四条の規定する相続回復請求権の消滅時効の援用を認められるべき者に当たらない(最高裁昭和四八年(オ)第八五四号同五三年一二月二〇日大法廷判決・民集三二巻九号一六七四頁参照)。そして、共同相続の場合において相続回復請求制度の問題として扱うかどうかを決する右のような悪意又は合理的事由の存否は、甲から相続財産を譲り受けた第三者がいるときであっても、甲について判断すべきであるから、相続財産である不動産について単独相続の登記を経由した甲が、甲の本来の相続持分を超える部分が他の共同相続人に属することを知っていたか、又は右部分を含めて甲が単独相続をしたと信ずるにつき合理的な事由がないために、他の共同相続人に対して相続回復請求権の消滅時効を援用することができない場合には、甲から右不動産を譲り受けた第三者も右時効を援用することはできないというべきである。

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