相続人に対する遺贈等における遺留分減殺の割合【最判平成10年2月26日】

事案の概要

  1. 平賀安太郎は、昭和六三年二月二五日に死亡したが、原告は安太郎の妻である
  2. 被告は安太郎の四女である
  3. 安太郎の相続人は、原被告のほか、安太郎の長男で昭和五六年一二月三〇日に死亡した平賀泰雄の子である古山妙子、黒川淳子、平賀雅範、平賀雅明、さらに、安太郎の長女市木利子、二女山田英子、三女國枝愛子、五女大川久美子である
  4. 安太郎は、昭和六一年一月一〇日付け遺言書により、物件目録一ないし八記載の不動産のうち、同目録一ないし七記載の不動産は、被告に二分の一、平賀泰雄の子ら四名に二分の一をそれぞれ相続させ、同目録八記載の不動産は、原被告及び平賀泰雄の子ら四名を除くその余の相続人四名に等分に相続させ、原告には、現金、預貯金等動産の一切を相続させる旨の遺言をした
  5. 被告及び平賀泰雄の子ら四名は、右相続にかかる不動産を、物件目録一ないし四記載の不動産を被告が取得し、同目録五ないし七記載の不動産を平賀泰雄の子ら四名が取得することとして分割した
  6. その後、物件目録四記載の建物は、取り壊された
  7. 物件目録一ないし三記載の各土地につき、被告を所有者とする所有権移転登記がなされている
  8. 原告は、被告及び平賀泰雄の子ら四名を相手方として、平成元年九月二五日、広島家庭裁判所に遺留分減殺行使による物件返還請求に関する家事調停の申立てをしたところ、平成元年(家イ)第八二八号家事調停事件として係属し、平成元年一一月一日、第一回調停期日が開かれた

争点

  1. 相続人に対する遺贈等における遺留分減殺の割合

判旨

相続人に対する遺贈等における遺留分減殺の割合について

相続人に対する遺贈が遺留分減殺の対象となる場合においては、右遺贈の目的の価額のうち受遺者の遺留分額を超える部分のみが、民法一〇三四条にいう目的の価額に当たるものというべきである。けだし、右の場合には受遺者も遺留分を有するものであるところ、遺贈の全額が減殺の対象となるものとすると減殺を受けた受遺者の遺留分が侵害されることが起こり得るが、このような結果は遺留分制度の趣旨に反すると考えられるからである。そして、特定の遺産を特定の相続人に相続させる趣旨の遺言による当該遺産の相続が遺留分減殺の対象となる場合においても、以上と同様に解すべきである。

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