受遺者が目的物を売却していた場合の遺留分減殺における価額弁償の算定方法【最判平成10年3月10日】

事案の概要

  1. 上告人及び被上告人らは、昭和六〇年五月二四日に死亡したAの子である。
  2. Aはその死亡時において本件土地についての借地権の二分の一の割合による持分を有していた。
  3. 上告人は、借地権持分の遺贈を受け、平成二年三月一三日、練馬ホーム株式会社に対し、これを自身の有する残りの二分の一の割合による持分と共に当時における客観的に相当な額である二億八八二九万九九六〇円で売却した。
  4. 被上告人らは、その後の平成四年二月一〇日、上告人に対し、右遺贈につき遺留分減殺請求の意思表示をした。

争点

  1. 受遺者が目的物を売却していた場合の遺留分減殺における価額弁償の算定方法

判旨

受遺者が目的物を売却していた場合の遺留分減殺における価額弁償の算定方法について

遺留分権利者が減殺請求権を行使するよりも前に減殺を受けるべき受遺者が遺贈の目的を他人に譲り渡した場合には、民法一〇四〇条一項の類推適用により、譲渡の当時譲受人が遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときを除き、遺留分権利者は受遺者に対してその価額の弁償を請求し得るにとどまるものと解すべきである(最高裁昭和五三年(オ)第一九〇号同五七年三月四日第一小法廷判決・民集三六巻三号二四一頁参照)。そして、右の弁償すべき額の算定においては、遺留分権利者が減殺請求権の行使により当該遺贈の目的につき取得すべきであった権利の処分額が客観的に相当と認められるものであった場合には、その額を基準とすべきものと解するのが相当である。

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