金銭である特別受益を遺留分算定の基礎に加える場合の価額の評価基準時【最判昭和51年3月18日】

事案の概要

  1. 原告の亡父訴外梶谷鶴太郎が昭和三三年一月七日に死亡し、その妻である訴外佐美野、二男である原告、長男である訴外亡淳平(昭和二六年二月一一日死亡)の長女たる被告(代襲相続)、淳平の養子たる訴外竜八(代襲相続)の四名が共同相続した、したがつて原告の遺留分の割合(抽象的遺留分額)が遺留分算定の基礎となる財産の六分の一である。
  2. 昭和二年頃鶴太郎は不動産を長男である亡淳平に贈与し、以来淳平とその妻梅野が右田畑を耕作してきたが登記は鶴太郎名義のまま残つていたこと、淳平の死後鶴太郎は岡野染次郎の勧めによつて右登記を淳平の家族名義に移そうと考え昭和二八年三月三一日、淳平の妻である梅野に対し右各不動産について昭和二七年四月一〇日付贈与を原因とする所有権移転登記をした。 以上認定にかかる各贈与は全て生計の資本としての贈与である。

争点

  1. 金銭である特別受益を遺留分算定の基礎に加える場合の価額の評価基準時

判旨

金銭である特別受益を遺留分算定の基礎に加える場合の価額の評価基準時について

被相続人が相続人に対しその生計の資本として贈与した財産の価額をいわゆる特別受益として遺留分算定の基礎となる財産に加える場合に、右贈与財産が金銭であるときは、その贈与の時の金額を相続開始の時の貨幣価値に換算した価額をもつて評価すべきものと解するのが、相当である。けだし、このように解しなければ、遺留分の算定にあたり、相続分の前渡としての意義を有する特別受益の価額を相続財産の価額に加算することにより、共同相続人相互の衡平を維持することを目的とする特別受益持戻の制度の趣旨を没却することとなるばかりでなく、かつ、右のように解しても、取引における一般的な支払手段としての金銭の性質、機能を損う結果をもたらすものではないからである。

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