遺留分減殺請求権の行使を裁判上の請求によって行う必要があるか【最判昭和41年7月14日】

事案の概要

  1. 不動産は、水沢善治の所有なるところ、被告は昭和三六年二月一九日同人から遺贈を受け、同年四月一〇日所有権移転登記を経由した。
  2. 水沢善治は昭和三六年二月一九日死亡し、相続人はいずれも実子である原被告及び亡大森藤吉の遺族であるので、原告の相続分は三分の一である。
  3. 被告は水沢善治の遺言により全遺産の遺贈を受けたので、原告の遺留分は六分の一となつた。
  4. 原告は、昭和三七年一月一〇日被告代理人添田良信に対し全遺産につき六分の一を減殺請求する旨表示し、その後遺産の具体的分割につき折渉したが、応じないため、本訴に及んだ。
  5. 被告は、原告が昭和三七年一月一〇日被告代理人添田良信に対し減殺請求権を行使したとしても、それ以後六月以内に裁判上の請求をしないから、右行使は時効を中断せず、時効は完成したものである、と主張した。

争点

  1. 遺留分減殺請求権の行使を裁判上の請求によって行う必要があるか
  2. 上記事情において遺留分減殺請求権の行使は認められるか

判旨

遺留分減殺請求権の行使を裁判上の請求によって行う必要があるかについて

遺留分権利者が民法一〇三一条に基づいて行う減殺請求権は形成権であつて、その権利の行使は受贈者または受遺者に対する意思表示によつてなせば足り、必ずしも裁判上の請求による要はなく、また一たん、その意思表示がなされた以上、法律上当然に減殺の効力を生ずるものと解するのを相当とする。

上記事情において遺留分減殺請求権の行使は認められるかについて

被上告人が相続の開始および減殺すべき本件遺贈のあつたことを知つた昭和三六年二月二六日から一年以内である昭和三七年一月一〇日に減殺の意思表示をなした以上、右意思表示により確定的に減殺の効力を生じ、もはや右減殺請求権そのものについて民法一〇四二条による消滅時効を考える余地はないとした原審の判断は首肯できる。

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