遺言を再撤回した場合に原遺言が復活するか【最判平成9年11月13日】

事案の概要

  1. Aは、平成三年一一月一五日に死亡した。その法定相続人は、妻であるB並びに子である上告人ら、被上告人及びCの合計五名である。
  2. 亡Aは、昭和六二年一二月六日、自筆証書によって、その遺産の大半を被上告人に相続させる内容の遺言。(以下「甲遺言」という。)をした。
  3. 亡Aは、平成二年三月四日、自筆証書によって、被上告人に相続させる遺産を減らし、甲遺言の内容より多くの遺産を被上告人以外の者に相続させる内容の遺言(以下「乙遺言」という。)をした。乙遺言の末尾には、「この遺言書以前に作成した遺言書はその全部を取り消します」との記載がある。
  4. さらに、亡Aは、平成二年一一月八日、自筆証書によって、「Dに渡した遺言状は全て無効としE弁護士のもとで作成したものを有効とする」と記載された遺言(以下「丙遺言」という。)をした。丙遺言にいう「Dに渡した遺言状」とは乙遺言書を指し、「E弁護士のもとで作成したもの」とは甲遺言書を指している。
  5. 被上告人は、甲遺言に基づき、第一審判決添付第一ないし第三物件目録記載の各不動産について、相続を原因とする所有権移転登記を行った。
  6. 本件訴訟は、上告人らが、乙遺言により甲遺言が失効したとして、甲遺言の無効確認を求めるとともに、右各不動産について法定相続分に従った共有登記への更正登記手続を求めるものである。
  7. 被上告人は、亡Aは、丙遺言によって甲遺言と同一の内容の新たな遺言をしたものであり、仮にそうでないとしても、民法一〇二五条ただし書の類推適用により、丙遺言によって甲遺言が復活すると主張している。

争点

  1. 遺言を再撤回した場合に原遺言が復活するか
  2. 上記事案において遺言の復活は認められるか

判旨

遺言を再撤回した場合に原遺言が復活するかについて

遺言(以下「原遺言」という。)を遺言の方式に従って撤回した遺言者が、更に右撤回遺言を遺言の方式に従って撤回した場合において、遺言書の記載に照らし、遺言者の意思が原遺言の復活を希望するものであることが明らかなときは、民法一〇二五条ただし書の法意にかんがみ、遺言者の真意を尊重して原遺言の効力の復活を認めるのが相当と解される。これを本件について見ると、前記一の事実関係によれば、亡Aは、乙遺言をもって甲遺言を撤回し、更に丙遺言をもって乙遺言を撤回したものであり、丙遺言書の記載によれば、亡Aが原遺言である甲遺言を復活させることを希望していたことがあきらかであるから、本件においては、甲遺言をもって有効な遺言と認めるのが相当である。

上記事案において遺言の復活は認められるかについて

前記一の事実関係の下において、甲遺言の復活を認めるべきであるとした原審の認定判断は、是認することができる。

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