相続させる旨の遺言において代襲相続が認められるか【東京地判平成21年11月26日】

事案の概要

  1. 原告らは、亡花子(大正五年一二月四日生。平成一六年一一月一三日死亡。)の子であった亡春夫(昭和一七年一月一五日生。平成一六年三月一九日死亡。)の子である。
  2. 被告らは、亡花子の子である。
  3. 亡花子は、平成九年四月一日、以下の内容が記載された遺言公正証書により、本件遺言をした。
      (ア) 丁原タワー店舗部分等について亡花子の有する共有持分権を、亡春夫に相続させる。
      (イ) 丙川ハイム及びその敷地を、亡春夫に相続させる。
      (ウ) その他一切の財産を亡春夫に相続させる。
  4. 亡春夫は、平成一六年三月一九日に死亡した。
  5. 亡花子は、平成一六年一一月一三日に死亡した。

争点

  1. 相続させる旨の遺言において代襲相続が認められるか

判旨

相続させる旨の遺言において代襲相続が認められるかについて

 遺言者は、「相続させる」旨の遺言をするに当たって、一般に、各相続人との身分関係及び生活関係、各相続人の現在及び将来の生活状況や資力その他の経済関係、特定の不動産その他の遺産についての特定の相続人の関わり合いの関係等諸般の個別具体的な事情を考慮して遺言をするものであって、必ずしも代襲相続人と遺言者との関係を考慮して遺言をするものとはいえない。
 したがって、特定の相続人に「相続させる」旨の遺言は、通常、名宛人とされた特定の相続人に向けられた趣旨と解すべきであって、名宛人とされていた特定の相続人が、遺言者より先に死亡した場合には、遺言書中に当該相続人が先に死亡した場合には代襲相続人に当該遺産を代襲相続させる旨の記載があれば格別、そうでない限り、原則として遺言は失効すると解することが遺言者の通常の意思に合致すると解される。そして、本件遺言の記載には、亡春夫の子である原告らの代襲相続について言及があるとは認められないから、本件遺言は原則として失効すると解すべきである。
 しかしながら、「相続させる」旨の遺言においても、当該遺言書の全記載との関連、遺言書作成当時の事情及び遺言者のおかれていた状況等を考慮して遺言を合理的に意思解釈した上、遺言者の意思が、当該相続人が先に死亡した場合には、当該財産を代襲相続人に相続させるというものであったと認められるような特段の事情がある場合には、「相続させる」旨の遺言においても代襲相続が認められるというべきである。

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