遺産分割方法の指定による相続の場合に代襲相続の規定が準用されるか【東京高判平成18年6月29日】

事案の概要

  1. 亡夏子は、平成一六年四月二〇日死亡し、亡夏子には、子として、被控訴人B山、亡秋子、被控訴人D原、被控訴人E川、被控訴人春夫があり、平成一五年四月二一日養子縁組をした養子として被控訴人松夫があった。亡秋子は、平成三年一〇月一四日死亡し、唯一の子である控訴人があった。
  2. 亡夏子は、昭和六二年一二月八日、以下の内容が記載された遺言公正証書(甲一)による遺言(以下「本件遺言」という。)をした。
     ア 別紙遺産目録第一の四(1)記載の土地(以下「本件土地」という。)及び同八記載の建物(以下「本件建物」といい、本件土地と本件建物とをあわせて「本件土地建物」という。)を被控訴人春夫に相続させる。
     イ その余の不動産を五等分し、その二を被控訴人B山に、その各一を亡秋子、被控訴人D原、被控訴人E川にそれぞれ相続させる。
     ウ 預貯金を五等分し、その各一を、被控訴人B山、亡秋子、被控訴人D原、被控訴人E川にそれぞれ相続させ、かつその一をB山冬夫に遺贈する。
     エ 本遺言の執行者として、弁護士A田一江を指定する。
  3. 亡夏子の死亡時の相続財産は、預貯金等である。
  4. 控訴人は本件遺言による相続を主張し、被控訴人B山及び被控訴人松夫はこれを争っている。

争点

  1. 遺産分割方法の指定による相続の場合に代襲相続の規定が準用されるか

判旨

遺産分割方法の指定による相続の場合に代襲相続の規定が準用されるかについて

 相続人に対し遺産分割方法の指定がされることによって、当該相続人は、相続の内容として、特定の遺産を取得することができる地位を取得することになり、その効果として被相続人の死亡とともに当該財産を取得することになる。そして、当該相続人が相続開始時に死亡していた時は、その子が代襲相続によりその地位を相続するものというべきである。
 すなわち、代襲相続は、被相続人が死亡する前に相続人に死亡や廃除・欠格といった代襲原因が発生した場合、相続における衡平の観点から相続人の有していた相続分と同じ割合の相続分を代襲相続人に取得させるのであり、代襲相続人が取得する相続分は相続人から承継して取得するものではなく、直接被相続人に対する代襲相続人の相続分として取得するものである。そうすると、相続人に対する遺産分割方法の指定による相続がされる場合においても、この指定により同相続人の相続の内容が定められたにすぎず、その相続は法定相続分による相続と性質が異なるものではなく、代襲相続人に相続させるとする規定が適用ないし準用されると解するのが相当である。
 これと異なり、被相続人が遺贈をした時は、受遺者の死亡により遺贈の効力が失われるが(民法九九四条一項)、遺贈は、相続人のみならず第三者に対しても行うことができる財産処分であって、その性質から見て、とりわけ受遺者が相続人でない場合は、類型的に被相続人と受遺者との間の特別な関係を基礎とするものと解され、受遺者が被相続人よりも先に死亡したからといって、被相続人がその子に対しても遺贈する趣旨と解することができないものであるから、遺贈が効力を失うのであり、このようにすることが、被相続人の意思に合致するというべきであるし、相続における衡平を害することもないのである。他方、遺産分割方法の指定は相続であり、相続の法理に従い代襲相続を認めることこそが、代襲相続制度を定めた法の趣旨に沿うものであり、相続人間の衡平を損なうことなく、被相続人の意思にも合致することは、法定相続において代襲相続が行われることからして当然というべきである。遺産分割方法の指定がされた場合を遺贈に準じて扱うべきものではない。

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