遺言書の一部がカーボン紙による複写であっても有効か【最判平成5年10月19日】

事案の概要

  1. 訴外齋藤景雄(以下「亡景雄」という。)は、昭和五八年一二月一〇日死亡し、原告及び被告らが相続人となった。
     亡景雄と亡齋藤イチノの子が原告、被告鈴木好子及び同小野寺知恵子であり、亡景雄の後妻が被告齋藤ケシ(以下「被告ケシ」という。)であり、亡景雄と被告ケシの子が被告齋藤和二郎、同齋藤善三郎(以下「被告善三郎」という。)、同齋藤善實、佐藤娃子及び同齋藤良子(以下「被告良子」という。)であり、亡景雄と被告ケシの養子が被告齋藤清重(以下「被告清重」という。)である。
  2. 仙台家庭裁判所気仙沼支部昭和五九年家第三号遺言書検認事件にかかる昭和五六年八月三〇日付の別紙遺言書目録記載の遺言書(以下「本件遺言書」という。)が存在する。
  3. 本件遺言書三枚目は、カーボン紙による複写である
  4. 本件遺言書は、各葉毎に割印した一通の遺言書であるが、その一枚目には遺言書なる文言及び遺言者として亡景雄名義の署名押印、四枚目には遺言書なる文言及び遺言者として被告ケシ名義の署名押印がある

争点

  1. 遺言書の一部がカーボン紙による複写であっても有効か
  2. 合綴された遺言は共同遺言として無効か

判旨

遺言書の一部がカーボン紙による複写であっても有効かについて

本件遺言書は、景雄が遺言の全文、日付及び氏名をカーボン紙を用いて複写の方法で記載したものであるというのであるが、カーボン紙を用いることも自書の方法として許されないものではないから、本件遺言書は、民法九六八条一項の自書の要件に欠けるところはない。

合綴された遺言は共同遺言として無効かについて

本件遺言書はB五判の罫紙四枚を合綴したもので、各葉ごとに景雄の印章による契印がされているが、その一枚目から三枚目までは、景雄名義の遺言書の形式のものであり、四枚目は被上告人齋藤ケシ名義の遺言書の形式のものであって、両者は容易に切り離すことができる、というものである。右事実関係の下において、本件遺言は、民法九七五条によって禁止された共同遺言に当たらないとした原審の判断は正当として是認することができる。

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