目録がタイプ印書されていた場合自筆証書遺言は有効か【東京高判昭和59年3月22日】

事案の概要

  1. 豊三の遺言書(以下「本件遺言書」という。)に該当するものと認められる≪証拠≫には、その末尾にタイプ印書された不動産目録(第一ないし第三)が添付されている

争点

  1. 目録がタイプ印書されていた場合自筆証書遺言は有効か

判旨

目録がタイプ印書されていた場合自筆証書遺言は有効かについて

 同遺言書は、右目録と対比することにより、はじめて控訴人孝雄に相続させるべき目的物を特定し得るものであることがその記載自体から明らかであるうえ、≪証拠≫によれば、右目録は、司法書士である同人がその事務員に命じてタイプ印書させたものであることが認められる。してみると、タイプ印書された右不動産目録は、本件遺言書中の最も重要な部分を構成し、しかも、それは遺言者自身がタイプ印書したものでもないのであるから、右遺言書は全文の自書を要求する民法九六八条一項の要件を充足しないことが明らかであり、仮に同遺言書が遺言者である豊三の意思に基づき作成され、かつ、その記載が全体として同人の真意を表現するものであるとしても、そのことのゆえに右全文自書の要件が充足されていると解することはとうてい許されないものというべきである。したがって、本件遺言書は自筆証書遺言としての効力を生ずるに由ないものといわざるを得ない。

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