共同遺言は一方に自署がない場合にも無効か【最判昭和56年9月11日】

事案の概要

  1.  訴外野村栄作は昭和四三年七月一〇日死亡し、同人妻訴外野村ハナは同五一年七月八日死亡した。
  2. 右両名の相続人は被告昭一(長男)、訴外幸子(長女)、同栄子(二女)、原告弘(三男)、訴外友子(三女)、原告秀男(四男)、被告武男(五男)、同茂男(六男)及び同春子(四女)の九名である。
  3. 而して別紙の如き亡栄作及び亡ハナ連名にかかる昭和四三年五月一五日付自筆証書遺言が存在し、同四四年一月二〇日大阪家庭裁判所堺支部において右遺言書が検認された。
  4. 本件遺言者は一枚の紙面に遺言者として父野村栄作、母ハナなる記名があり、遺言が右両名によつてなされた形式をとつているばかりでなく、内容も栄作が先に死亡したときはハナが栄作の全財産を相続し、ハナが死亡したときは遺言書記載のとおり被告らに財産を贈与するという、栄作とハナの両者による意思表示が含まれている

争点

  1. 遺言無効確認訴訟において相続分がない相続人に確認の利益があるか
  2. 遺言無効確認訴訟は固有必要的共同訴訟か
  3. 共同遺言は一方に自署がない場合にも無効か

判旨

遺言無効確認訴訟において相続分がない相続人に確認の利益があるかについて

 遺言無効確認の訴訟において原告である相続人に確認の利益があるか否かは、遺言の内容によつて定めれば足り、原告が受けた生前贈与等により原告の相続分がなくなるか否かは、将来における遺産分割の時に問題とされるべき事項であることにかんがみると、原則として右確認の利益の存否の判断においては考慮すべきものではないと解するのが相当である。

遺言無効確認訴訟は固有必要的共同訴訟かについて

 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、本件遺言無効確認の訴が固有必要的共同訴訟にあたらないとした原審の判断は、正当として是認することができる。

共同遺言は一方に自署がない場合にも無効かについて

 同一の証書に二人の遺言が記載されている場合は、そのうちの一方に氏名を自書しない方式の違背があるときでも、右遺言は、民法九七五条により禁止された共同遺言にあたるものと解するのが相当である。

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