日付について法定の訂正がなされていない遺言は有効か【仙台地判昭和50年2月27日】

事案の概要

  1. 佐藤かちよが佐藤惣治の妻であり、被告が右惣治、かちよ夫婦の養女である
  2. 右惣治が昭和三三年六月二日死亡し、原告と被告の両名が同人の遺産を相続したこと、別紙第一目録記載の土地が右惣治の遺産である
  3. 右土地につき被告が仙台法務局昭和四六年七月五日受付第四四、二五一号をもつて、登記原因を大正一〇年八月二三日佐藤惣治家督相続、昭和三三年六月二日相続として、佐藤かちよの持分三分の一、被告の持分三分の二とする所有権移転登記を経由した
  4. 本件遺言書の記載中日付の記載は訂正がなされている

争点

  1. 日付について法定の訂正がなされていない遺言は有効か

判旨

日付について法定の訂正がなされていない遺言は有効かについて

 民法九六八条二項によると「自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力がない」ものであるのに、本件遺言書の右訂正については、右規定の方式の記載も署名もないことは明らかであるから右訂正部分の記載はその効力がないものといわなければならない。
 よつて、本件遺言書の訂正された日付のうち「九年三」の訂正記載部分は無効であるから右訂正の記載がないものとして右遺言書の効力を検討するに、民法九六八条の自筆証書による遺言には同条一項において日付の記載が必要とされているからその日付の記載のない遺言は無効というべく、しかしてその日付の記載は年月日を記載することが必要であつて、年月または日だけの記載では不充分であり、かかる遺言は日付の記載のない無効な遺言と解すべきである。
本件において、甲第一号証の一の遺言書によると、その日付の抹消された部分は当初何年何月と記載されてあつたものがその判続ができないように抹消されているのであるから、本件遺言書中の日付の記載は不充分であつて、結局本件遺言は民法九六八条の要件を充たした日付の記載のないもので無効なものといわなければならない。

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