ロシア人による押印のない自筆証書遺言は有効か【最判昭和49年12月24日】

事案の概要

  1. 亡サホブ・ケイコは無国籍の白系ロシア人であったが、昭和三八年六月二〇日日本に帰化し、本籍地を神戸市生田区山本通二丁目一二番地の一と定め、同四一年二月一一日神戸市の海星病院で死亡したことおよび同日同女の死後、本件遺言書が発見され、同月一六日神戸家庭裁判所で同裁判所昭和四一年(家)第二三八号遺言書検認事件として検認を受けた
  2. <亡サホブ・ケイコは約四〇年以前から日本に居住していて、ロシア語、英語、日本語を解することができ、昭和三八年日本に帰化した後も生活様式はヨーロッパ風であったが、印鑑は以前から所持しており不動産等の処理の際等は使用していた。  /li>
  3. 亡サホブ・ケイコは昭和二一年ごろ進駐軍の神戸ベースに勤務していた時に、同所に勤務していた原告ベアと知り合い、その後同女の不動産の保険の件の処理を同原告に依頼したこと等から交際が深まった。
     
  4. 同女は日本に血縁の者が居らず、自分の財産を長年住みなれた日本のために使おうと考え、右の趣旨のもり込まれた原告らを遺言執行者とする遺言書を作成することにし、全文を英文で自書した後、証人として山本登里夫他一名に署名を求め本件遺言書を作成し、遺言者である同女はキャサリン・M・サホルスキーの氏名で署名はしたが捺印をしなかった。
     
  5. 同女が死亡した昭和四一年二月一一日の朝海星病院から電話を受けた原告ベアは同クノフリーと海星病院へ駆けつけ、病室にあった本件遺言書の入っていた同女の鞄を持ち出し、原告クノフリー宅の金庫に納めた後、警察官の求めにより同日夕方亡サホブ・ケイコ方へ持参し、その後検認がなされた。

争点

  1. ロシア人による押印のない自筆証書遺言は有効か

判旨

ロシア人による押印のない自筆証書遺言は有効かについて

 原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、本件自筆証書による遺言を有効と解した原審の判断は正当であつて、その過程に所論の違法はない。

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