特別縁故者としての地位は相続により承継されるか【東京高決平成16年3月1日】

事案の概要

  1. 本件は平成15年2月9日に死亡したCの子で相続人の一人である抗告人が、相続人間で成立した遺産分割により抗告人がCが有していた被相続人の特別縁故者としての地位を取得して承継したとして被相続人の相続財産の分与を求めた事件である。
  2. 平成11年2月15日 被相続人につき相続開始(被相続人の死亡)
  3. 平成14年6月7日 C、相続財産管理人選任事件を申し立て(東京家庭裁判所平成14年(家)第○○○○○号事件)
  4. 平成14年7月19日 相続財産管理人の選任(弁護士D)
  5. 平成14年10月30日 相続債権者及び受遺者に対する請求申出の催告(期間2か月)
  6. 平成15年1月29日 相続人捜索の公告(催告期間満了日・平成15年8月31日)
  7. 平成15年2月9日 C死亡
  8. 平成15年10月6日 抗告人、本件特別縁故者に対する相続財産分与申立て

争点

  1. 特別縁故者としての地位は相続により承継されるか

判旨

特別縁故者としての地位は相続により承継されるかについて

 特別縁故者として相続財産の分与を受ける可能性のある者がその分与の申立てをすることのないまま死亡した場合には特別縁故者としての地位が承継されることはないと解するのが相当である。すなわち、被相続人の特別縁故者として相続財産の分与を受ける権利は、家庭裁判所における審判によって形成されるにすぎず、被相続人の特別縁故者として相続財産の分与を受ける可能性のある者も、審判前に相続財産に対し私法上の権利を有するものではない(最高裁平成6年10月13日判決・判例時報1558号27頁参照)。また、特別縁故者として相続財産分与の申立てをするかどうかは一身専属的な地位に基づくものである。そうすると、特別縁故者として相続財産の分与を受ける可能性のある者も、現にその分与の申立てをしていない以上、相続財産に対し私法上の権利を有するものではない。そして、その者が被相続人の特別縁故者として相続財産分与の申立てをする目的で、その前提手続である相続財産管理人選任事件の申立てをしていたとしても、直ちに特別縁故者ないしこれに準ずる者として相続財産に関し法律上保護すべき具体的な財産権上の地位を有するものではないというほかない。

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