包括受遺者が存在する場合に相続人不存在といえるか【最判平成9年9月12日】

事案の概要

  1. Aは、平成三年六月八日付けの遺言書により、同人が死亡した場合には同人の財産全部を上告人Cに贈与する旨の遺言をした。
  2. Aは、平成四年七月二八日、被上告人の神戸支店から、貸付信託に係る信託契約の受益証券(ビッグ)を代金四五〇万円で購入した。同受益証券については、平成五年八月五日以降、受益者の請求により、受託者が買い取ることができる旨の定めがあった。
  3. Aは、平成五年四月一日に死亡した。同人には、相続人は存在しない。
  4. 上告人Bは、平成五年六月二九日、神戸家庭裁判所により、Aの前記遺言の遺言執行者に選任された。
  5. 上告人Bは、平成五年八月五日、被上告人に対し、前記受益証券の買取り及び買取金の支払を求めたが、被上告人はこれを拒んだ。

争点

  1. 包括受遺者が存在する場合に相続人不存在といえるか

判旨

包括受遺者が存在する場合に相続人不存在といえるかについて

 遺言者に相続人は存在しないが相続財産全部の包括受遺者が存在する場合は、民法九五一条にいう「相続人のあることが明かでないとき」には当たらないものと解するのが相当である。けだし、同条から九五九条までの同法第五編第六章の規定は、相続財産の帰属すべき者が明らかでない場合におけるその管理、清算等の方法を定めたものであるところ、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有し(同法九九〇条)、遺言者の死亡の時から原則として同人の財産に属した一切の権利義務を承継するのであって、相続財産全部の包括受遺者が存在する場合には前記各規定による諸手続を行わせる必要はないからである。

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