相続放棄が詐害行為取消権の対象となるか【最判昭和49年9月20日】

事案の概要

  1. 控訴人が昭和三三年六月二六日破産宣告を受けた訴外中国製鉄株式会社(破産会社)の破産管財人である
  2. 訴外亡梶野清二郎が破産会社に対し、株金二五万円およびこれに対する昭和三一年七月七日から昭和四五年一〇月六日までの遅延損害金二一万三七五〇円、合計四六万三七五〇円の払込義務を負つていた
  3. 右訴外人が死亡し、その相続人である被控訴人らが鳥取家庭裁判所米子支部に対し債務超過を理由として相続放棄の申述をなし、これが受理された

争点

  1. 相続放棄が詐害行為取消権の対象となるか

判旨

相続放棄が詐害行為取消権の対象となるかについて

 相続の放棄のような身分行為については、民法四二四条の詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。なんとなれば、右取消権行使の対象となる行為は、積極的に債務者の財産を減少させる行為であることを要し、消極的にその増加を妨げるにすぎないものを包含しないものと解するところ、相続の放棄は、相続人の意思からいつても、また法律上の効果からいつても、これを既得財産を積極的に減少させる行為というよりはむしろ消極的にその増加を妨げる行為にすぎないとみるのが、妥当である。また、相続の放棄のような身分行為については、他人の意思によつてこれを強制すべきでないと解するところ、もし相続の放棄を詐害行為として取り消しうるものとすれば、相続人に対し相続の承認を強制することと同じ結果となり、その不当であることは明らかである。

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