相続財産管理人に相続財産に関する訴訟につき当事者適格があるか【最判昭和47年11月9日】

事案の概要

  1. 本件訴えは、亡鎌田惣次郎の相続財産管理人である被控訴人が、控訴人を相手どつて相続財産に属する貸金債権の弁済を訴求するものである
  2. 亡惣次郎の相続人は被控訴人を含め計七名(原判決記載の請求原因(一)のとおり)であり、右相続人全員が共同して限定承認の申述をし被控訴人がその相続財産管理人に選任されたので、被控訴人において、右相続財産管理人としての資格で弁護士中林裕一に訴訟代理を委任して本件訴訟を提起するに至つた

争点

  1. 相続財産管理人に相続財産に関する訴訟につき当事者適格があるか

判旨

について

 民法九三六条一項の規定により相続財産管理人が選任された場合には、同人が相続財産全部について管理・清算をすることができるのであるが、この場合でも、相続人が相続財産の帰属主体であることは単純承認の場合と異なることはなく、また、同条二項は、相続財産管理人の管理・清算が「相続人のために、これに代わつて」行なわれる旨を規定しているのであるから、前記の相続財産管理人は、相続人全員の法定代理人として、相続財産につき管理・清算を行うものというべきである。したがつて、相続人は、同条一項の相続財産管理人が選任された場合であつても、相続財産に関する訴訟につき、当事者適格を有し、前記の相続財産管理人は、その法定代理人として訴訟に関与するものであつて、相続財産管理人の資格では当事者適格を有しないと解するのを相当とする。論旨引用の当庁昭和四三年(オ)第四三五号同年一二月一七日第三小法廷判決(裁判集民事九三号六五九頁)も右と同旨の見解を前提とするものと解せられる。

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