相続放棄の申述書に自署が必要か【最判昭和29年12月21日】

事案の概要

  1. 別紙第一及第二目録記載の物件はいづれも原告の父亡菊池浅次の所有であつたが同人は昭和二十三年十一月二十四日死亡したのでその子である原被告訴外高根沢ミヨ菊池三郎同照衛同セイ並に浅次の妻ツネが共同して相続すべきところ原告以外の相続人は昭和二十四年二月二十一日宇都宮家庭裁判所に相続抛棄の申述を為し同月二十二日右申述が受理されたこと
  2. <別紙第一目録記載の物件については昭和二十五年十一月二十九日被告が相続に因る所有権取得の登記手続を為したこと/li>
  3. 同第二目録表示の物件については前同日被告が所有権保存の登記手続を為している
  4. 浅次の死亡後である昭和二十三年十二月中旬被告方において相続人である原被告兄弟姉妹並に母ツネが集り相続に関して相談した結果浅次の遺産は長子である被告に相続させ他の相続人は総てその相続権を抛棄することに決定しその手続は被告に一任したので被告はそれぞれの印章を預り司法書士小山田八束に委嘱してその手続を執つたものであつて原告も亦昭和二十四年四月頃被告にその印章を託したところ戸籍抄本の下付に日数を要したので相続抛棄期間の伸長許可を得たうえ同年三月十四日宇都宮家庭裁判所に相続抛棄の申述を為し同月二十四日右申述は受理された

争点

  1. 相続放棄の申述書に自署が必要か

判旨

相続放棄の申述書に自署が必要かについて

 家庭裁判所が、相続放棄の申述を受理することは審判事項であるから、その申述が本人の真意に基ずくことを認めた上これを受理すべきでありそのため必要な手続はこれを行うことを原則とするが、申述書自体により右の趣旨を認め得るかぎり必ずしも常に本人の審問等を行うことを要するものではない。そして家事審判規則一一四条二項が、申述書には本人又は代理人がこれに署名押印しなければならないと定めたのは、本人の真意に基ずくことを明らかにするためにほかならないから、原則としてその自署を要する趣旨であるが、特段の事情があるときは、本人又は代理人の記名押印があるにすぎない場合でも家庭裁判所は、他の調査によつて本人の真意に基ずくことが認められる以上その申述を受理することを妨げるものではない。

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