遺産分割協議において持ち回り決議は有効か【仙台高判平成4年4月20日】

事案の概要

  1. 原判決別紙物件目録(一)記載の土地(以下「本件土地」という。)は、もと小川石蔵(以下「石蔵」という。)の所有であったところ、同人は、昭和四六年一一月一四日死亡し、その相続人は同人と亡中村ツナとの子である被上告人小川巌(以下「被上告人巌」という。)、石蔵の妻である小川ハギ(以下「ハギ」という。)、並びに石蔵とハギの子である上告人、満州江、被上告人小川邦彦(以下「被上告人邦彦という。)、蔦江、尚敏、照美、尚美、すみゑ及び自子の一一名である、
  2. 石蔵の遺産は、本件土地及び同目録(三)、(四)記載の土地並びに居宅及びイカ釣漁船等であり、一定の債務もあったが、右債務は、ハギ及び上告人らが、昭和五一年ころにはこれを完済した、
  3. 石蔵の遺産については、分割協議はされなかったところ、昭和五八年八月二一日、被上告人ら、ハギ、上告人の間で、〈1〉石蔵の遺産のうち、本件土地については、被上告人らがそれぞれ面積七〇坪分の部分を取得する、〈2〉被上告人らが取得する右部分を除く石蔵の遺産は、上告人が取得する、〈3〉本件土地の登記については、いったんその全部について、上告人が単独で所有権移転登記を経由し、その後上告人が被上告人らに対し、各面積七〇坪分の部分を分筆して、その部分につき所有権移転登記手続をする、〈4〉被上告人らが取得する部分の具体的範囲は、上告人が所有権移転登記を経由した後、本件土地を整地してから、被上告人らと上告人とで協議して決定することとし、整地及び登記費用は右三者で分担するとの合意が成立(以下「本件合意」という。)した、そして、他の相続人に対しては、小川家の中心的存在であった上告人が同意を取り付けることとなった、
  4. その後、上告人は、右合意の当事者を除く石蔵の相続人全員に対し、本件土地その他の石蔵の遺産の処分についての同意を求め、これらの相続人は、相続分が存在しない旨の証明書ないしこれと同趣旨の書面と印鑑証明書とを交付して、その処分及び登記手続を上告人に一任した、上告人は、更に、被上告人ら及びハギからも同様に登記手続に必要な書類の交付を受け、これを使用して、昭和五八年一二月一二日本件土地及び原判決別紙物件目録(三)の土地全部について相続を原因とする自己名義の所有権移転登記を経由した。

争点

  1. 遺産分割協議において持ち回り決議は有効か

判旨

遺産分割協議において持ち回り決議は有効かについて

相続人間において遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の合意が要件であり、この合意が成立するためには必ずしも全員が一堂に会することは必要ではないが、全員が一堂に会せずに持ち回りで分割協議をなす場合は分割の内容が確定しておりそのことが各相続人に提示されることが必要であると解するのが相当である。これを本件についてみれば、石蔵の相続人である上告人、被上告人ら及びハギの間で、石蔵の遺産である本件土地についての本件合意が成立したことは認められるが、他の相続人が本件合意の内容を了解したうえこれを承諾する意思表示をするのでなければ本件合意と同一内容の遺産分割協議が成立したということはできないはずである。

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