葬式費用は誰が負担するか【東京地判昭和61年1月28日】

事案の概要

  1. 原告は、亡青山義文(以下「亡義文」という。)の実兄であり、被告茂子は、亡義文の妻であり、同恵美子は、被告茂子の子であつて、亡義文の養子であり、同和枝は、亡義文と山本良子との間の子である。
  2. 亡義文は、昭和58年10月20日、死亡し、被告らが相続により、亡義文の権利義務一切を承継した。
  3. 亡義文の葬式(以下「本件葬式」という。)は、被告和枝が喪主となつて行われた。
  4. 右葬式に要した費用は、合計金213万8800円であつて、原告は、これを支払つた。

争点

  1. 葬式費用は誰が負担するかについて

判旨

葬式費用は誰が負担するかについて

葬式費用は、特段の事情がない限り、葬式を実施した者が負担すると解するのが相当であるというべきである。そして、葬式を実施した者とは、葬式を主宰した者、すなわち、一般的には、喪主を指すというべきであるが、単に、遺族等の意向を受けて、喪主の席に座つただけの形式的なそれではなく、自己の責任と計算において、葬式を準備し、手配等して挙行した実質的な葬式主宰者を指すというのが自然であり、一般の社会観念にも合致するというべきである。したがつて、喪主が右のような形式的なものにすぎない場合は、実質的な葬式主宰者が自己の債務として、葬式費用を負担するというべきである。すなわち、葬式の主宰者として、葬式を実施する場合、葬儀社等に対し、葬式に関する諸手続を依頼し、これに要する費用を交渉・決定し、かつ、これを負担する意思を表示するのは、右主宰者だからである。そうすると、特別の事情がない限り、主宰者が自らその債務を葬儀社等に対し、負担したものというべきであつて、葬儀社等との間に、何らの債務負担行為をしていない者が特段の事情もなく、これを負担すると解することは、相当ではない。したがつて、葬式主宰者と他の者との間に、特別の合意があるとか、葬式主宰者が義務なくして他の者のために葬式を行つた等の特段の事情がある場合は格別、そうでない限り、葬儀社等に対して、債務を負担した者が葬式費用を自らの債務として負担すべきこととなる。

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