名古屋高決昭和47年6月29日

前示一で引用した原審判及び当審での各認定事実並びに本件記録に徴すれば、被相続人与治郎(昭和三五年一二月八日死亡)の相続人は妻である抗告人ふみえ、長男である参加人与志夫、三女である抗告人美佐子、三男である抗告人春夫の四名であつて、相手方克子は右長男与志夫の妻であり相続人ではない。相手方克子は昭和三七年一二月六日参加人与志夫との間になされた贈与契約(前記甲第一号証)上の債権を保全するため参加人与志夫の遺産分割請求権を代位行使して本件遺産分割審判の申立てをしただけのものである。従つて本件遺産分割の審判をなすに当つては、本件遺産を前記四名の共同相続人に分割をなすべきもので、相手方克子に対し直接分与(取得)の審判をなすべきものではない。すなわち先づ本件遺産を前記四名の共同相続人に分割し、その結果参加人与志夫の取得した分の二分の一を与志夫から克子に贈与されるべきものである。そしてこの贈与契約の履行は民事訴訟法による訴訟事項であつて審判事項ではない。然るに原審判では、相手方克子は前記贈与契約上の債権者であると認定しながら参加人与志夫の取得分の二分の一の分与を受け得るものとして、主文第二ないし第四項において被相続人与治郎の遺産(土地)の一部を直接相手方克子に取得させ、且つ抗告人ふみえらに対し右土地についての所有権移転登記手続と金員の支払いを命じているが、これは違法な審判というべきであり、この点で原審判は取消すべきものと認める。

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