東京高決平成8年8月26日

記録によると、三浦政次が昭和62年9月30日にした別紙遺産目録一1記載の土地(持分5分の4)の抗告人三浦由布子への贈与は、抗告人三浦由布子の長年にわたる妻としての貢献に報い、その老後の生活の安定を図るためにしたものと認められる。そして、記録によると、抗告人三浦由布子には、他に老後の生活を支えるに足る資産も住居もないことが認められるから、右の贈与については、政次は、暗黙のうちに持ち戻し免除の意思表示をしたものと解するのが相当である。
 相手方は、抗告人三浦由布子が抗告審で初めて持ち戻し免除の主張をしたことなどを理由に、右の意思表示の存在を争うが、右の贈与がなされた当時の政次及び由布子の年齢や収入などを考慮に入れると、上記の贈与の目的が上記のようなものであることは否定できないのであり、そのような贈与について、遺産分割の際にこれを持ち戻したのでは、すでに老境にある妻の生活を維持することはできないのであるから、持ち戻しを免除する意思がなかったとする、相手方の主張は採用することができない。

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