高松高決昭和48年11月7日

夫婦の一方が婚姻中に自己の名で得た財産は、民法上その特有財産とされており、その財産取得について相手方配偶者の協力寄与があつた場合にも、民法には別に財産分与請求権、相続権ないし扶養請求権等の権利が定められていて、特段の事情がない限り、これらの権利を行使することにより結局夫婦間の実質上の不平等が生じないように立法上の配慮がなされているのである。そして、事柄を、遺産形成についての他方配偶者の寄与に関して考えるならば、夫婦の協力義務にもとづく一般的な寄与にもとづき、寄与配偶者の遺産中に占める潜在的な持分は、相続分の形で定型化されているものと考えられるので、一般的な寄与をしたことを根拠として、寄与配偶者に対し法定の相続分以上の遺産を取得させることはできないというべきである(最高裁判所昭和三六年九月六日判決、民集一五巻八号二〇四七頁、高松高等裁判所昭和四四年九月二日決定、判例時報五八二号七八頁参照)。
 本件においては、遺産形成に対する相手方ツネの内助の功は多大であつたと考えられるけれども、その寄与は夫婦の協力義務にもとづく一般的な寄与の程度をこえるものではないと認められる(事業の共同経営など一般的な寄与の程度をこえる特段の寄与をしたことを認める資料はない。)ので、寄与分を考慮することにより法定の相続分以上の遺産を同人に取得させることはできない。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする