東京高判平成7年12月21日

相続人が数人ある場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を取得するものと解するのが相当である(最高裁昭和二七年(オ)第一一一九号同二九年四月八日第一小法廷判決・民集八巻四号八一九頁、同昭和二八年(オ)第一六三号同三〇年五月三一日第三小法廷判決・民集九巻六号七九三頁参照)。この理は、相続財産が被相続人の銀行(銀行法二条一項)に対する預金払戻請求権及び証券会社(証券取引法二条九項)に対する預託金返還請求権である場合であっても異ならない。なぜなら、民法八九八条は、「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。」旨明定しており、その共有の性質は同法二四九条以下に規定する共有と異ならず(前掲最高裁昭和三〇年五月三一日第三小法延判決参照)、かつ、金銭その他の可分債権については、遺産分割前であっても、同法四二七条の規定に照らし、各相続人が相続分の割合に応じて独立して右債権を取得するものと解するのが相当であるところ、右と同様の金銭債権である本件預金払戻請求権及び預託金返還請求権につき、これと別異に解すべき理由がないからである。また、このように解することが相続人らの公平と利益に合致するゆえんでもある。

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