最判昭和47年9月8日

原審の適法に確定したところによれば、昭和一五年一二月二八日訴外Aの死亡により同人所有の本件土地について、遺産相続が開始し、原判示の続柄にあるB、C、上告人D、上告人E、上告人Fの五名が共同相続をしたが、そのうちCが昭和一八年二月一日死亡したので、原判示の続柄にあるG、H、I、J、Kの五名が同人の遺産相続をしたものであるところ、BはA死亡当時林家の戸主であつたので、当時は家督相続制度のもとにあつた関係もあり、家族であるAの死亡による相続が共同遺産相続であることに想到せず、本件土地は戸主たる自己が単独で相続したものと誤信し、原判示のような方法で自己が単独に所有するものとして占有使用し、その収益はすべて自己の手に収め、地租も自己名義で納入してきたが、昭和三〇年初頃長男である被上告人に本件土地を贈与して引渡し、爾後、被上告人においてB同様に単独所有者として占有し、これを使用収益してきた。一方、前記亡C、上告人D、上告人E、上告人Fらは、いずれもそれぞれAの遺産相続をした事実を知らず、Bおよび被上告人が右のように本件土地を単独所有者として占有し、使用収益していることについて全く関心を寄せず、異議を述べなかつたというのである。
 ところで、右のように、共同相続人の一人が、単独に相続したものと信じて疑わず、相続開始とともに相続財産を現実に占有し、その管理、使用を専行してその収益を独占し、公租公課も自己の名でその負担において納付してきており、これについて他の相続人がなんら関心をもたず、もとより異議を述べた事実もなかつたような場合には、前記相続人はその相続のときから自主占有を取得したものと解するのが相当である。叙上のような次第でBしたがつて被上告人は本件土地を自主占有してきたものというべきであり、これと同趣旨の原審の判断は相当である。

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